開業準備をうまくいかせるコツ

◎ネガティブ思考はマイナスではない
すでにクリニック起業術を読んでくださった方は、開業の認識がクリニックの開設から、起業にシフトし、経営とは何かを掴みはじめていただけていると思います。
失敗したくて開業する人はだれ一人としていません。では、経営で成功するヒトたちに共通する要素は何なのかを1つピックアップしたいと思います。

それは、「悲観的戦略」という思考法です。
私どもが開催している開業前経営勉強会(不定期)にご参加いただいた勤務医の先生に、「開業で成功したいか・失敗をしないかのどちら
かを選んでください」と尋ねたところ、10 人中10 人が成功したいと答えました。
成功したいという想いは当然だと思いますが、経営を成功に導くという意味で、失敗する時がどんな時なのかを、考えることも非常に大切です。

私はむしろ、成功法より大事なのではないかと考えています。成功を描いている時に、失敗を同時に考えることは、あまり気持ちがいいものではないのですが、経営においての失敗、つまり負け筋を減らすことは成功に直接つながるので、無視はできません。

この「悲観」について、京セラ・第二電電(現KDDI)の創業者として
有名な稲盛和夫氏の言葉をご紹介します。

新しいことを成し遂げるには、まず「こうありたい」という夢と希望をもって、超楽観的に目標を設定することが何よりも大切です。
天は私たちに無限の可能性を与えているということを信じ、「必ずできる」と自らに言い聞かせ、自らを奮い立たせるのです。しかし、計
画の段階では、「何としてもやり遂げなければならない」という強い意志をもって悲観的に構想を見つめなおし、起こりうるすべての問題を想定して対応策を慎重に考え尽くさなければなりません。
そうして実行段階においては、「必ずできる」という自信を持って、楽観的に明るく堂々と実行していくのです。
(稲盛和夫オフィシャルサイトより)
https://www.kyocera.co.jp/inamori/philosophy/words36.html

つまり、ビジョンの設定段階では楽観的であっても、その計画段階では、「失敗しないためにはどうしたらよいのか」「これが失敗した時の次の手はどうするのか」「それもだめな場合はどうするのか」と、2手、3手先の実行オプションをいくつも考え抜いておくことが大切です。
そのためには、マネジメント・マーケティング・ファイナンスの経営に必要なセクションを押さえ、総合的な判断ができる体制が欠かせません。

開業に向けて、すべてがはじめてのことで、心配しかないという方もいらっしゃると思いますが、ネガティブに考えられることは経営計画の側面で、決して悪いことではありません。「こういうときはどうしたらいい?」「こんなことが起こったらどうしよう?」と、具体的な不安が思い浮かぶほうが、むしろ先に起こりうる問題点が明確になります。
計画には悲観的な思考を持ちながらも、ビジョンには楽観的になれることが、経営においてビジョン達成への近道といえるかもしれません。

TOP
お問い合わせ メッセージ セミナー